ビルの谷間にあるその公園は、「避難場所」だったんだと気付いた。
何か嫌なことがあったときに逃げ込める、心の避難場所。
ある日、この公園を見つけた。そして前を通るたび、何のためにこんな狭い公園があるのだろうと思っていた。
時計と滑り台のような遊具、ベンチが一つ、そして大きな桜の木。
春には花を咲かせるけれど、花見ができるほど広くはない。おまけにただ一つのベンチは木の隣にあって、座ると花が見えない。立って花を愛でるのがせいぜいだ。
子供たちが遊ぶには狭い。ベンチはあるけれど、すぐ近くに大きな道路がある。休憩するにもうるさくて落ち着かないだろう。
特に何も面白いものもない、ポケットのような場所に作られた狭い公園はいつも誰もおらず、ただそこにあり続けていた。
ある日、仕事でどうしようもなく苦しくなった。
発端はちょっとしたミスだった。指摘されて気づいて必要な対処をして謝罪をした。
それで十分なはずだったのだが、「申し訳なさそうに見えない」だとか「誠意が足りない」だとか言われて、自分の全てがどうしようもなく悪いことのようになった。
もちろんミスは悪いことだ。だけど謝罪はしたし、必要な対処はした。それでよいはずではないか。
できることをしないで泣いたりうろたえたりしたらよかったのだろうか。
なんとなくそのまま帰りたくなかったその日、例の公園の前を通った。
公園にも周囲にも誰もおらず、忘れられているようだ。
引き寄せられるように敷地に入って、ベンチに腰を下ろした。
春ではないので桜は咲いていない。空を見上げた。ビルの合間から見えた空は、白いような灰色のようなつまらない色。
近くを車が行きかう轟音が聞こえる。排気ガスのにおいがこちらまで来そうで、空気は良いとはいえない。
それでも、ここにいることで気分が落ち着いてきた。
社会の流れの中から一瞬離れ、一時休止しているような気分。
つまらない、と思う場所は、こういう時のために存在しているのか。
或いは、「要らない」「つまらない」という物や場所などそもそも存在しないのか。
おはようございます。
こぎん刺しのテディベア、ベアグッズ製作の、kogin*bear style こひろです。
文中で言及した公園は実在します。
近所で工事が始まっていて、建設作業員の方々の休憩所になっていました。。
今日も読んでくださり、ありがとうございます。
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