こぎん刺しのテディベア作家 kogin*bear style こひろ

コレクションしたくなる、大人のための心のともだち。青森県津軽地域の こぎん刺しを使ったテディベア作家のブログ。販売先・イベント出展情報・問合せ先は各ブログ記事末尾をご覧ください。

柱なき琴糸

「好きだ。誰にも渡したくない」

不意に抱きしめられて、耳元に低く聞こえた貴方の言葉。後れ毛を揺らす吐息。

こんなに近く、肌の熱を感じたのは初めて。身体を包む体温と香りに、気を失いそう。鼓動が早くなる。


白いシャツの胸元が視界に入る。同時に、化粧で汚さないようにと自分の顔のそばに手を添えた。そっと指を滑らせた、生地の文目。こんなに近くで、触れることは叶わないと、思っていた。そのはずだった。


「こんな所で…人が来ます。それに口紅が付きます」


それなら、と貴方は私の顔を仰向かせ、くちづけた。紅を拭うように強く押し当てる。目を閉じる暇さえなかった。かすかに声が漏れ、暫しの後。

「これでいいだろう」
私の唇を人差し指でなぞり、悪戯っぽく笑う貴方。その笑顔に何も言えない。もう一度、抱きしめられた。

 

好きになっては、いけない人。そばにいながら気持ちは隠してきたつもりだった。想うだけで十分だった。その一線は超えまい、と思っていた。

 

「これ以上は、いけません」
腕の中で、そう告げる。なにより自分の心に言い聞かせるように。

腕の力を緩めて、私の目を見つめて言う。

「俺の気持ちは変わらないよ」

目を伏せる。それでも、貴方の胸元から、指が離せなかった。


今の我に歌のありやを問ひますな柱なき繊糸これ二十五絃(「みだれ髪」)

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おはようございます。
こぎん刺しのテディベア、ベアグッズ製作の、kogin*bear style こひろです。

 

引用した与謝野晶子の歌は、鉄幹に会えなくなった時の心情を詠んだものです。

つまり琴の「柱」とは、会えることを心の支えにしていたという意味だそうです。

柱を気持ちの支えとする点は同じですが、内容は全然違うものにしました。

 

今日も読んでくださり、ありがとうございます。


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