こぎん刺しのテディベア作家 kogin*bear style こひろ

青森県津軽地域の こぎん刺しを使ったテディベア作家のブログ。「充実した暮らしを楽しむ大人の心の友達に、伝統模様に祈りをこめて、こぎん刺しを未来へ」。販売先・イベント出展情報・問合せ先は各ブログ記事末尾をご覧ください。

残り香

わかっている。これは一時の夢、幻。

 

灯りを落として寝所に身を横たえ、蟠る想いを振り切るように閉じる瞼。長い睫毛。

広がる女の黒髪が闇とひとつになり、自身も溶けるように眠りに落ちる。

 

暁。青白い空。ぼんやりと、でも強い、夏に向かう朝の光。

目を覚ます女。

身体を起こすと、薄い夜着越しに髪が背中に乱れかかる。耳や頬に触れると少し冷たい。頭を振り、軽く指を通して整える。

 

あの人の吐息、声、匂い。昨夜の名残がまだ残っていそうで。髪を絡めた指を握る。

そう感じるのは心を離すことができないから、なのか。

あの人の纏う香りを躱しつづけてきた。なのに、心の奥では惹かれている。確かに。

 

もう二度と、人を愛することなんてない。そう決めていた。

まして好きになってはいけない人ならなおさら。想いが深くなればなるだけ、傷つくだけ。あの人の周りには、華やかな女の人がたくさんいる。自分がその一人になることには耐えられない。

どうせ結ばれないのなら、決して忘れられない女になりたい。

それが叶わないのなら、いっそ思い切ってしまった方がよい。

 

朝だけど、髪を洗ってしまおうか。今日は出かける用もない。

床から出て浴室に向かう。脱衣所で夜着の紐を解く。

櫛で丁寧に縺れを取ってゆく。目の粗い櫛で全体を梳き、次に目の細かい櫛を毛先から通していく。さまざまに乱れる感情を整えるように。

女は櫛を置いた。淡く清らかな朝の光の下、白い素肌の上を乱れのない黒髪が流れる。

残り香まで流してしまえば、余計なことは忘れられるだろうか。

 

ながからむ心も知らず黒髪の乱れて今朝は物をこそ思へ

(待賢門院堀河『千載和歌集』恋巻三)
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おはようございます。
こぎん刺しのテディベア、ベアグッズ製作の、kogin*bear style こひろです。

百人一首にも入っている、待賢門院堀河の「ながからむ…」の歌からイメージしました。

 

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